総務省デジタル統括アドバイザーの三木浩平氏にインタビューを行いました

今回のインタビューの目的は以下の2点でした。5月26日開催のKIICの本年度の総会の特別講演において、三木様には「自治体情報システムの標準化とガバメントクラウドへの最新事情について」と題するご講演をいただいたのですが、そのご講演のフォローアップとして、標準化やガバメントクラウドへの移行に向けて、基礎自治体が対応していく際に検討しておくべきポイントを、自治体規模別で整理して分かりやすくお話ししていただくことが第1点、今後の数年で基礎自治体の情報システムが標準化とガバメントクラウドを通じて変わっていく状況の中で、基礎自治体における人材あるいはデジタル人材の確保・育成についてのお考えやアドバイスをお教えいただくことが第2点でした。以下では、インタビューの内容を要約してご紹介します。

基礎自治体の情報システムの標準化への対応について、標準仕様書の対象となる事務を担当している自治体の部門は、標準仕様書に従ったシステムを使用することになります。その際、現行システムと標準化対応システムとの間のギャップがどの程度あるかで、標準化への対応の難易度が変わります。一方、ガバメントクラウドへの対応については、オンライン環境でシステムを使用することになるので、現在のシステムの環境がオンプレミスか、あるいはオンラインかで対応の難易度が大きく異なります。自治体規模による難易度の差は、一概に言えませんが、以下のような傾向があるのではないかと示唆されました。

 

①小規模団体では、標準化の対象となる住民情報系業務の情報システムを統合パッケージで導入しているケースが多いが、ノンカスタマイズで利用している団体では対応への難易度は低くなる。一方で、小規模団体は社会保障系等のシステムで小規模ベンダーのパッケージを利用している場合があり、同分野のビジネスモデルとの差異により市場から撤退するベンダーが出てくる可能性がある。既存ベンダーの撤退がある場合は、パッケージの再選定が必要になるので、作業量が増加したり難易度が高くなるなどの可能性がある。

②団体規模が大きくなると複数のベンダー構成されるマルチベンダーの状態になることやパッケージにカスタマイズをかけて利用する傾向がある。特に、政令市クラスの規模になるとオーダーメイドのスクラッチ開発の団体も散見される。ベンダー各社は標準化対応のパッケージソフトをノンカスタマイズで利用することを前提で対応する可能性が高いので、これらのカスタマイズをかけていたり、スクラッチ開発をしている中・大規模団体では対応の難易度が上がる。

③ガバメントクラウドへの対応に関しては、現行システムをオンラインで利用しているかどうかが対応の難易度を決める大きな要因となる。自治体クラウドやサービス、単独クラウドなどオンライン利用を行っている団体と比較して、オンプレミスや自前のデータセンターを利用している大規模な団体では対応への難易度は高くなると言える。

 

人材あるいはデジタル人材の現状と確保の問題については、①事務職、②情報技術職、③出向、④任期付職員(フルタイム)、⑤管理職、に分けて人材を育成・登用していくことを考えると理解しやすいことが示されました。小規模団体においては、報酬や業務量の条件から専門人材を常勤職員として迎えることが困難な一方で、非常勤とした場合は民間との兼業が課題になる点も指摘されました。その対策として、非常勤職員を複数の自治体において曜日別で兼務してもらうことや県など広域自治体から同様のしくみにて派遣してもらう手法について提案されました。

以上のインタビューの詳細につきましては、KIICの会員限定で公開されているフルバージョンの記事をご覧下さい。

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